アンニョンハシンミカ。
部員ブログを担当させていただきます、体育学部4年の曺海輝(チョウ・ヘフィ)です。はじめに、日頃より朝鮮大サッカー部に多大なるご支援とご声援をいただき、ありがとうございます! コマッスンミダ!
今回は、名古屋で開催されたアジア競技大会において、朝鮮代表サッカーチームのリエゾンとして帯同させていただいた経験について、文章にまとめました。少し長いですが、最後まで読んでいただければ幸いです。
まず初めに、自分の生い立ちと、今回の役割を担うことになった経緯について簡単に書かせていただくと長野県松本市で生まれ育った私は、一言でいえば、長野同胞社会の中心で地方特有の分厚いトンポサランに育ててもらいました。どこに行っても同胞たちやソンセンニン、ヒョンニンヌナたちに可愛がってもらい、そんなウリハッキョが大好きでした。サッカーが嫌いなチームメイト8人しかいない試合もできない部活動の中、私は面白いことにサッカー選手になることを夢見るようになりました。寄宿舎生活を送りながら愛知朝高でボールを蹴り続けた日々は尊敬する監督の愛情にあふれた鬼指導と学生時代に世代別共和国代表として活動した金成純兄につきっきりでトレーニングしてもらう幸せな環境に身を置くことができました。先輩の姿を見て朝鮮代表としてプレーしたいという思いはさらに強くなり、朝鮮大学校体育学部への進学を決意しました。
朝鮮大学校での4年間は、決して順風満帆とはいえませんでした。1、2年生の頃はIリーグが主戦場でした。練習でトップチームに絡めるようになった2年生の頃、当時の先輩方や対戦相手とのレベルの差を痛感し、自分の夢がプロサッカー選手であることすら口に出せず、理想と現実のギャップに涙が止まらなかった日のことを今でも鮮明に覚えています。都リーグに出場するようになった3年生の頃も、レギュラー定着までは届かずあっという間に4年目を迎えました。


そんな私に、夢のよう話が舞い込んできました。
「名古屋に来日する男子サッカー朝鮮代表チームのリエゾンという役割を担ってみないか」
リエゾンとは、国際大会などにおいて、チームと大会組織委員会・運営スタッフをつなぐ連絡役・サポート担当者のことです。れっきとした責任の重い役割であり、周りの国のリエゾンの方々は経験豊富なベテランばかりでした。正直、不安しかありませんでしたが、体育学部長やサッカー部のスタッフ陣、蹴球協会の方々のご尽力のおかげで、今回の活動が実現しました。
最高学年として奮起を誓った4年生の前期も、スタメン出場は数えるほどで、ベンチからピッチを見守る日々が続いていました。そんな自分にとって、今回のお話はサッカー部や後輩たちに還元できるものがあるのではないかと考えました。普段トレーニング後に後輩を連れて走り込むなど、チームのためにできることをしてきた自負はそれなりにありました。ピッチに対する後悔は残しつつも、一足先にグラウンドを離れる決断をしました。
夢だった朝鮮代表に、このような形で関わることとなり活動を開始しました。今まで裏方の業務など全く経験したことのなかった自分にとって、当初は要領も悪く、眠れない日々が続き無事にこの業務を終えられるのか不安と忙しさで頭が回りませんでした。仕事内容としては
・朝鮮代表男子サッカーチームの空港での出迎えから受け入れまでのサポート
・大会組織委員会・AFC関係者との連絡調整
・試合関連書類や公式情報の確認・共有
・チームマネージャーとの情報伝達・共有
・ミーティング資料の収集・準備
・スタジアムでのスケジュール管理・調整
・チームの移動に伴うバスの手配・運行スケジュールの調整
・ホテル側との細かな調整や打ち合わせ
大きな仕事から細かな仕事まで、挙げればキリがありません。代表選手と24時間20日間寝食を共にする生活は正直とても気が張りました。ですが自分より能力のある大人たちはたくさんいる中で、なぜ自分が選ばれたのか。朝鮮大サッカー部の一員としてどのような形で爪痕を残せるのか。ただ目の前の業務をこなすだけでなく、必ずこれからにつながる経験にしようという意気込みで臨みました。
朝鮮代表のコーチや同年代の選手たちは、自分を弟のように迎え入れてくれました。ウリハッキョや同胞社会、サッカー、日本の政治、恋愛事情など、私の話には常に興味津々。歌を歌って士気を上げるよう求められることは常日頃で、先輩たちにちょっかいをかけたりと中々の無茶振りされることも多々ありましたが、さすがの朝大代表ということでクレバーに対応させていただきました(笑)。また、オーバーエイジ枠の3人のヒョンニンたちとの、負けられないサウナでの耐久勝負では、私が毎回しっかりと勝利を収めました。

彼らは日本の青年たちと何ら変わりません。しかし、オンとオフの切り替えが激しく、同胞たちが応援に来れば「彼らのために必ず勝つ!」と目の色を変えます。祖国の代表として恥じないプレーをしようと、円になって熱く語り合う姿には、同じ民族として毎試合胸が熱くなりました。
国際大会の舞台は、スケールも緊張感も桁違いでした。中国戦、UAE戦を終えて1分1敗で迎えたイラン戦。グループリーグ突破が厳しい状況の中、リーグ屈指の強敵であるイランに2点差以上で勝利する必要がありました。それでも、誰一人下を向くことなく、4対1で勝利。劇的逆転突破を果たしロッカールームは歓喜に包まれていました。そんな私が朝鮮代表を見て、他の国にも負けない強さを感じたのは、メンタリティの部分でした。
「백번 쓰러지면 백번 다시 일어나 끝까지 싸워서 이기는 조선의 강한 체육정신을 발휘하자.」(百回倒れても百回立ち上がり、最後まで戦い抜いて勝利する、朝鮮の強い体育精神を発揮しよう。)
彼らがミーティングでよく口にする言葉です。相手より走る。球際では絶対に負けない。祖国の人民と日本の在日同胞の分まで戦う。こうした思いが22人の選手全員に浸透しており、その団結力とチームの一体感は抜群でした。日本戦も敗れはしたものの、正々堂々と相手を押し込みながら戦った姿は、同胞たちの記憶にも新しいと思います。


そんな怒涛の大会日程をこなしながら、ふと思うことがありました。それは、朝鮮大サッカー部や全国の小中高のサッカー部がよく口にする、「同胞たちや学校の思い、期待を背負って戦おう」というフレーズについてです。
「PRIDE OF KOREA」
朝鮮大サッカー部のスローガンです。この言葉を、果たしてみんながどれほど自分自身のこととして捉え、プレーしているのだろうか。偉そうなことを言っていますが、自分がプレーヤーだった頃は、まるでできていませんでした。プレーに波があり、選手権やリーグ戦、大事な試合のときだけ熱くなっていたのかもしれません。
学生レベルでそこまで背負うのは重いと言われたら、それまでかもしれません。しかし、在日朝鮮人として異国の地でサッカーをするウリハッセンの使命は、何にも代え難い誇り高く、幸せなものなのだということを、今回の経験を通じて改めて実感しました。朝鮮は朝鮮、在日は在日。確かに生活も環境も全く違うので、真似する必要はないと思います。しかし、同じ朝鮮民族として、このメンタリティは同じ水準、基準を目指していくべきなのではないかと感じました。朝鮮大サッカー部は、ウリハッキョのトップチームとして、試合の中でその思いを体現しなければならない。実際にそうした姿を今回何度も目の当たりにした自分だからこそ、チームやウリハッキョの後輩たちに伝えていかなければならないことがある。そう強く感じました。
また、今回の大会では、元朝鮮代表の安英学先輩が宿舎を訪れ、選手たちを激励してくださいました。W杯を共に戦い、かつてのチームメイトが朝鮮代表の監督となった今、再会を果たし、サッカーで繋がった絆をこの目に焼き付けました。そして、大学の大先輩である文仁柱兄(現・J3 FC岐阜)、同胞選手である高昇辰兄(現・J3 ギラヴァンツ北九州)が宿舎を訪れ、選手たちと「必ず次の大会で一緒に戦おう」と語り合い、国境を越えて切磋琢磨する姿を目の当たりにしました。やはりサッカー選手はかっこいいなと感じるとともに、国を背負って戦うことの重みを心の底から感じました。
ありがたいことに、先輩方は自分にもたくさんのアドバイスをくださり、「選手たちのサポートを頼んだ」と力強い言葉をかけてくださいました。朝鮮代表の合宿に参加し、Jリーグで活躍する李泰河兄(現・J3 ロアッソ熊本)、鄭翔英兄(現・J3 ガイナーレ鳥取)も、大学時代からオフの過ごし方や試合に向けた準備、ピッチ内でのオーラが計り知れないものでした。同胞社会を背負い、人生を懸けて今も毎試合戦っている先輩方を身近で見てきた自分だからこそ、後輩たちが次の朝鮮代表やJリーガーとして活躍できるよう、精一杯支えていき、伝えていきたい。そして、在日サッカー界の発展に微力ながら貢献していきたい。そうした思いが、より一層強くなった期間でした。
朝鮮大サッカー部においてもさまざまな選手がいますが、みんな志が高く、これからの在日同胞社会を各分野で担っていく人材が集まった集団だと私は思います。自分自身、選手としては挫折し、夢を諦めた身です。しかし、本気で朝大サッカー部の一員としてサッカーに取り組んだ4年間、そして藤代監督の素晴らしいサッカー観を学べた3年間は、自分にとって何にも代え難い財産です。今回、このような経験ができたのも、朝鮮大学校、そして朝鮮大学校サッカー部だからこそ実現したことだと思います。本当に運が良かったです。今回の活動の実現に携わってくださったすべての方々に、改めてこの場をお借りして感謝申し上げます。コマッスンミダ。

全国のウリハッセントンム達。朝鮮代表はウリハッセンの憧れ、希望、夢だと彼らに伝えました。朝鮮選手達と共にプレーすることを目指して練習するウリハッセン達がこれからもたくさんいるので、期待してほしいとコーチ陣に伝えると、たくさんの在日同胞選手と戦えるののを楽しみにしていると強くおっしゃっていました。全国の戦友達と共に朝大サッカー部の歴史を作り上げてほしいです。このブログを見て、少しでも後輩達の夢へのモチベーションになってくれれば幸いです。
最後になりますが、朝鮮大学校サッカー部はなかなか結果が出ない日々が続いていますが、キャプテンを中心に選手たちは必死に勝利を目指して戦っています。10月25日には、朝鮮大学校グラウンドで横浜国立大学とのホーム最終戦「Links Soccer Festival 2026」が開催されます! ぜひ多くの方々にグラウンドへ足を運んでいただき、選手たちを後押ししていただければと思います! これからも変わらぬご支援、ご声援をよろしくお願いいたします。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!コマッスンミダ!
名前:曺海輝
学部:体育学部
ポジション:MF
好きな言葉:동포청년들과 하나가 되자(同胞青年たちと一つになろう)
好きな選手:김극범

